りんご園で“つり”

 現在りんご園では、仕上げ摘果の真っ最中です。同時にりんごの肥大とと


もに垂れ下がってきた枝に支柱を入れてあげたり、紐で吊ったりする作業も


行っています。


 さて、りんご樹(丸葉)を育てていく上で私が一番重視する事は、何といっ


ても作業性!例えば6尺(約180センチ)のハシゴですべてりんごを収穫出


来る園地ですと、8尺まで必要な園地よりも作業性が高いし、労力負担も少


なくて済みます。


当園では7尺のハシゴですべて作業が出来る様に、りんご樹を仕立てていま


す。樹をなるべく低く仕立てる方法、それが“短幹仕立て”。主幹を低めに


抑え、主枝を低い枝でつくっていきます。


短幹仕立てのメリットは、上記以外に、主枝が斜立するため雪に引っぱられ


にくく雪害に強い、また樹勢が長幹仕立てに比べると強く、モンパ病や干ば


つ対策にもなる気がします。あとは、枝が斜立という事で、3本主枝でも仕


立てやすいのではないでしょうか。


デメリットとしては、枝が低いため、草刈り作業がしにくいといったところ


です。りんごの肥大に伴い枝も下がってくるため、支柱を入れたり、吊った


りしてあげなければなりません。


そこで、特に“短幹仕立て”の丸葉で有効なのが、“軍艦吊り”!

これは、金沢の兼六園の“雪吊り”のもととなったもので、昔はりんごの枝


吊りでも多く行われていたそうです。


私は、4メートルの単管に角キャップを取り付け、主幹に沿わせて3ヶ所ほ


ど結束します。

あとは強度のある紐で、先端から放射状に垂れ下がった枝を吊るだけです。

手間はかかりますが、支柱を何本も入れるコストや草刈り時や防除時の煩わ


しさを考えると、大変有効だと思います。