16,17日と一泊二日で岩手県へ、青森県りんご剪定士の県外研修へ出かけ
てきました。岩手県はりんご樹をコンパクトに維持管理していくワイ化栽培
の先進地で、雪も50センチほどの積雪しかないとの事で、省力化や採光性
を重視した“低樹高栽培”が進んでいます。以前も視察した事がある井上美
ほぼハシゴなしで収穫ができ、1段ほどの踏み台ですべて収穫が可能な感じ
でした。こちら青森県津軽地方は豪雪地帯なので、なかなか導入するのが難
しい仕立て方ではないでしょうか。また、日本の狭い農地では、やはり土
地、空間の有効利用も考慮せざるを得ず、ついつい低樹高の上の空間がもっ
たいなく感じてしまいます。また、青森県でもここまでの低樹高ではないで
すが、8尺のはしごを使用していたのを6,7尺のはしごで済む様にといっ
た具合に、豪雪地帯なりに低樹高化は進んでいます。
また、下の写真の様に井上さんは、りんご園の通路の部分はあえて草を刈ら
りんご樹へ害虫がつかない様に、虫の棲みかを残しているそうで、園地の見
た目よりも生態系を利用した害虫防除に、なるほどなぁと思いました。
盛岡・農研機構果樹研究所では、“ふじ”の原木を見てきました。
世界で生産量ナンバーワン、りんごの代名詞と言っても過言ではない“ふ
じ”は、この樹から無数に殖やされていったのであり、もちろん現在うちの
りんご園にありふじの樹たちも、元をたどればこの樹にたどり着きます。ま
さにお盆に祖先の墓参りが出来ました。
二日目は、奥州市にある高野卓郎園を視察しました。この辺は江刺りんご
のブランドで有名です。井上さんほどではないにしろやはり低樹高で、採光
性を重視して高品質のりんごを目指しています。10ヘクタールもの園地の
一部では自ら新品種の育成もしておられ、当日は高野さんが育成された“紅
ロマン”という品種が真っ赤に実り、収穫間近といった所でした。
“シナノレッド”の自然交雑実生から育成したものだそうで、一昨年から市
場出荷が始まったばかりだそうです。因みに栽培は地元のJA管内限定。
こちら青森県の極早生品種の期待の星、“恋空”よりも玉が大きめで、これ
からどう展開していくのか楽しみです。
今回の研修旅行は、青森県内各地のやり手の方々と情報交換をしたり親睦
を深める事ができ、これからのりんご道にとって大きな二日間になったので
はないかと思います。